ReadoutKit

複利・積立シミュレーション

積立が将来いくらになるか、そのうち何割が運用益なのかを確かめます。

すべてブラウザ内で動作します。入力した内容はアップロードされません。

ReadoutKit / Takashi Yamazaki が執筆・保守しています

仕組みと使い方

複利が実際にしていること

複利とは、前の期間に得た利益が、今の期間にはそれ自身の利益を生むということです。単利がまっすぐ伸びるのに対し、複利のグラフは上に反り返ります。その反り具合こそが、長期と短期でまったく違う結果になる理由です。

一括投資だけの場合、将来価値は次の式で求まります。

FV = P × (1 + r)^n

各期末に積立を加える場合は、その支払いの列に対する項が加わります。

FV = P × (1 + r)^n + PMT × ((1 + r)^n − 1) ÷ r

ここで r は「1年あたり」ではなく「1複利期間あたり」の利率です。年6%の月次複利なら r は 0.005、n は月数になります。自作の表計算で最も多い誤りが、この換算の取り違えです。

グラフの読み方

棒グラフは各年を「自分で入れた元本」と「運用益」に分けています。序盤は元本のブロックがほぼ全体を占めます。積立の規律が資産のすべてを作っており、残高が小さいうちは利回りが同じでも金額としての利益は小さいためです。

注目すべきは、運用益のブロックが元本のブロックを追い越す年です。この交差点は、その計画に十分な時間が含まれているかを示す最も分かりやすい指標になります。想定期間内に交差が起きない場合、その計画は運用成績ではなく積立額だけで決まっているということです。それ自体は失敗ではありませんが、努力すべき対象が「利回り」ではなく「積立額」に変わります。

期間 > 利回り > 複利頻度

結果を左右する要素は3つありますが、影響力は同じではありません。

変更する内容最終資産額への影響
積立期間を10年延ばすおおむね2倍以上
想定年利を1ポイント上げる30年でおよそ20〜30%
年次複利を月次複利にする数%

この順序が、「早く始めること」が「うまく選ぶこと」よりはるかに効く理由です。平凡な利回りの10年は、手にできなかった巧みな10年に勝ちます。

利回り1%の差が、30年後にいくらになるか

初期資金100万円・毎月5万円・30年を固定して、想定利回りだけを動かした表です。拠出したお金は どの行も1,900万円で同じです。

想定利回り30年後の残高拠出総額運用益拠出の何倍か
1.0%¥2230万¥1900万¥333万1.2x
3.0%¥3160万¥1900万¥1260万1.7x
4.0%¥3800万¥1900万¥1900万2x
5.0%¥4610万¥1900万¥2710万2.4x
6.0%¥5620万¥1900万¥3720万3x
7.0%¥6910万¥1900万¥5010万3.6x

年1%では30年かけても拠出額の1.18倍にしかなりません。5%で2.43倍、7%で3.64倍です。4%と5%の差 —— わずか1ポイント —— が806万円になっています。手数料の話がここに直結します。信託報酬が年1% 違うということは、この表を1行分ずり落ちるということです。

複利が効くのは最後の10年

年5%・毎月5万円のまま、積立期間だけを変えた表です。期間が延びれば拠出総額も増えるので、 拠出と運用益を必ず分けて並べています。

積立期間拠出総額運用益残高残高に占める運用益
10年¥700万¥241万¥941万25.6%
15年¥1000万¥548万¥1550万35.4%
20年¥1300万¥1030万¥2330万44.1%
25年¥1600万¥1730万¥3330万51.9%
30年¥1900万¥2710万¥4610万58.8%
40年¥2500万¥5870万¥8370万70.1%

右端の列が、残高のうち自分で入れていない部分の割合です。10年では25.6%、20年で44.1%、 30年で58.8%、40年で70.1%。前半は自分の入金が残高のほとんどを占めていて、複利が働いている 実感はほぼありません。

30年と40年の行を見比べると、この形がはっきりします。運用益は2,708万円から5,866万円へ増え、 差は3,158万円。最後の10年だけで、それまでの30年間が生んだ額を上回っています。 追加の拠出は600万円ですから、残りは複利です。「早く始めるほど得」という言い方は正確ではなく、 正しくはいちばん価値のある年数は、いちばん後ろにあるということです。 30年目でやめると、失うのは1年分ではありません。

名目の数字を、今日の買い物に直す

上の表はすべて名目額です。30年後の4,608万円が何を買えるかは、その間の物価によって決まります。 インフレ率だけを変えた表です。

インフレ率名目の残高実質(今日の価値)目減り分目減りの割合
0.0%¥4610万¥4610万¥00.0%
1.0%¥4610万¥3420万¥1190万25.8%
2.0%¥4610万¥2540万¥2060万44.8%
3.0%¥4610万¥1900万¥2710万58.8%
4.0%¥4610万¥1420万¥3190万69.2%

年2%で30年なら、4,608万円の購買力は今日の2,544万円まで落ちます。失われるのは44.8% —— 半分近くです。年4%なら69.2%が消えます。名目の利回りから素直に引けるので、 年5%で運用してインフレが2%なら、実質の伸びはおよそ年3%だと考えてください。 表の「実質」の列は、その3%で30年回した結果とほぼ一致します。

この列を出しているのは、老後資金の目標額を名目で立てると必ず足りなくなるからです。 「3,000万円あれば足りる」という判断は、今日の物価での話です。30年後にその判断を満たすには、 年2%のインフレなら名目で5,400万円ほど必要になります。

現実に引き戻す数字

名目の最終資産額は気分が上がる数字ですが、役に立つのはインフレ調整後の金額のほうです。インフレ率2%なら物価はおよそ35年で2倍、3%なら24年で2倍になります。これを無視した試算は、そのお金で実際に買えるものを一貫して過大に見せます。老後の計画において、それは最も避けたい誤りです。

このツールがあえて計算に入れていないものが2つあります。ひとつは手数料で、運用益があなたのために複利で効くのとまったく同じ仕組みで、あなたに対して複利で効きます。もうひとつは税金で、国や制度による違いが大きすぎて推定に意味がありません。信託報酬は想定年利から差し引いて入力し、結果は税引き前の金額として扱ってください。

なめらかな曲線について

現実の市場が年7%を毎年きちんと届けることはありません。届くのは22%、次に−9%、次に4%です。ここに描かれるなめらかな曲線は平均的な経路であって、予測ではありません。とくに資産を取り崩す段階では、良い年と悪い年がどの順番で来るかが結果を大きく変えます。計画のおおよその形を掴むために使い、実際の線はもっと荒れるものだと考えてください。

よくある質問

毎月5万円を30年積み立てるといくらになりますか
初期資金100万円・年利5%・毎月5万円なら、30年後の残高は約4,608万円です。うち拠出したお金は1,900万円で、残りの2,708万円が運用益にあたります。年利3%なら3,159万円、7%なら6,912万円です。ただしこれは名目額で、年2%のインフレを織り込むと4,608万円の購買力は今日の約2,544万円に相当します。この記事に利回り別・期間別・インフレ率別の表を載せてあり、いずれも上の計算機と同じ関数で計算しています。
積立は何年目から効いてきますか
同じ条件(年5%・毎月5万円)で、10年時点の残高941万円のうち運用益は25.6%です。20年で44.1%、30年で58.8%、40年で70.1%まで上がります。もっとはっきり出るのは最後の10年の寄与で、30年から40年に延ばすと運用益が2,708万円から5,866万円へ増えます。この10年だけで3,158万円 —— 最初の30年間が生んだ2,708万円を上回ります。複利は最後に効くので、途中で止めると失うのは残りの年数ではなく、いちばん大きい年数です。
想定年利は何%にすればよいですか?
希望ではなく、根拠を説明できる数字を入れてください。世界株式のインデックスは長期でインフレ差引後おおむね年5〜7%程度でしたが、その平均のまわりには数十年単位の振れがあります。債券や預金はこれよりはるかに低くなります。迷う場合は悲観・想定・楽観の3通りで計算し、悲観のケースで生活が成り立つかを基準にしてください。
運用益が元本を追い越すのはなぜ重要ですか?
その交差点こそが複利の本質で、いつ訪れるかを見る価値があります。一般的な積立額と利回りなら15〜25年目のどこかに来ます。それ以前はあなたの積立の規律が資産を作っており、それ以降は資産自身が資産を作っています。その瞬間に何かが変わるわけではなく、棒グラフのどちらが大きいかが入れ替わるだけです。
月次複利と年次複利で、そんなに差が出ますか?
多くの人が思うほどは出ません。年12%なら10年で約7%の差ですが、年5%なら2%程度です。複利の頻度は、利回りそのものや放置できる期間の長さに比べれば端数の話です。
「今日の価値で」とは何ですか?
最終資産額を累積インフレ率で割り戻し、現在の物価で何が買えるかに換算した金額です。インフレ率2%なら、30年後の500万円は今の約276万円と同じ購買力しかありません。老後の計画を立てるなら、こちらのほうが誠実な数字です。
手数料や税金は含まれていますか?
含まれていません。そしてどちらも無視できません。年1%の信託報酬は、30年で最終資産の4分の1程度を削ります。最も簡単な補正は、入力する想定年利からファンドの手数料率をあらかじめ差し引いておくことです。

出典

このツールが使っている計算式と税率・基準値は、下記の資料に基づいています。制度は改正されます。ここの数字と出典が食い違う場合は、出典が正しいものとお考えください。

2026年8月21日 時点で、下記の出典と数値を突き合わせています。

ほかのツール