お金のツール
ローン、貯蓄、手取り。決める前に、その数字の本当の重さを確かめる。
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これらの計算に共通していること
このカテゴリの問いは、ほとんどが「金額・利率・期間」の3つに還元できます。違うのは、そのうち何が すでに分かっていて、何を求めたいのかだけです。ローン計算は金額と利率を固定して返済額を出し、 借入可能額の計算は返済額を固定して金額を出し、老後資金の試算は積立額を固定して最終残高を出す。 自分に欠けている変数がどれかを見分けることが作業の半分で、それがそのまま使うべきツールを決めます。
借入 — 借りられる額と返せる額は別物
金融機関が算出する借入可能額は、額面年収と登録された債務から機械的に出るもので、いわば貸し手の リスク計算です。教育費も、買い替えが近い車も、借入中も続けたい貯蓄も、そこには入っていません。住宅ローン借入可能額で上限を把握し、ローン計算で実際に無理なく払える返済額から逆算して、 その差を余力として残す —— という順で使うのが安全です。
結果を大きく動かすのは2点です。1つは期間で、延ばせば毎月の返済額は下がりますが総利息は増え、 ある点を越えると延長分はほぼ利息になります。もう1つは、年利を12で割って月利にするため、 5.4% と 5.6% のような一見わずかな差が、長期のローンでは総額で無視できない額になることです。 どちらも各ツールが出す償還表に現れます。初期の行はほぼ利息で、元金が利息を上回るクロスする月が、見るべき数字です。
借り換えは同じ計算を2回走らせるだけで、 問題は諸費用を何ヶ月分の差額で回収できるか、そしてその時点でまだその住宅に住んでいるか、の2点に尽きます。リボ・カード返済も形は同じですが、 最低支払額が残高の一定割合で決まるため、残高が減ると支払額も減り、最低額だけを払い続けると 完済が何年も先に延びます。
積立 — 複利の頻度は細部ではない
複利計算と老後資金の試算は、利息が年何回付くか、 積立が期首か期末かで結果が変わります。同じ名目利率でも年1回複利と毎月複利では残高が違い、 30年ではその差は小さくありません。また試算値は断りがなければ名目額です。 今の感覚で十分に見える残高が、その期間分のインフレを通したあとも十分とは限りません。
収入と税 — 額面と手取りのあいだ
手取り計算で最も多い誤解が、限界税率と実効税率の混同です。 限界税率は「次の1円」にかかる率、実効税率は収入全体をならした率で、この2つは一致しません。 税率が上がる区分に入っても、高い率がかかるのは基準額を超えた部分だけで、 すでに稼いだ分に遡ってかかるわけではありません。中位の収入帯では所得税より大きくなることも多い 社会保険料は、独自の基準額と上限を持つため、税率の区分とは逆方向に総額を動かすことがあります。
給与支払頻度の換算が効くのは年額ではなく 資金繰りのほうです。2週間ごとの支払いは年24回ではなく26回になるため、年に2ヶ月だけ3回払いの月が出ます。 事業の数字では、消費税計算を使う前に、その価格が税込か税抜かを 先に決めてください。税込価格から税額を割り出す操作と、税抜価格に税を足す操作は別物で、 同じ数字から始めても答えが違います。
為替・不動産・保障
通貨換算の仲値は基準値であって、実際に提示される レートではありません。コストはスプレッドと手数料の側にあります。不動産投資の利回りは、表面利回りよりも空室・修繕・管理の 影響のほうがはるかに大きく、ツールがそれらを入力させるのはそのためです。必要保障額は、債務の返済が進み子が独立に近づくほど 年々減っていくので、一度決めて固定するのではなく数年ごとに計算し直す種類の数字です。
これらのツールでないもの
ここにあるのは計算機であって、助言ではありません。公開されている標準的な計算式を実装し、 その算術は自動テストで検証していますが、あなたの事情は知りませんし、とくに税制は年ごとに変わり、 国によっても異なります。法令で定まる数値に依存するツールは、根拠にした一次資料と 最後に突き合わせた日付をページに明記しています。金額の大きい判断では、結果を自分の状況と、 必要なら専門家の助言と照らし合わせてください。