額面から手取り計算
年収の額面から実際に口座に入る金額を出します。欲しい手取りから必要な額面年収を逆算することもできます。使った税率はすべて画面に表示します。
すべてブラウザ内で動作します。入力した内容はアップロードされません。
ReadoutKit / Takashi Yamazaki が執筆・保守しています
仕組みと使い方
手元に届く前に、どこへ消えているか
額面はあくまで表向きの数字です。そこから口座までの間に、性質の異なる3つの控除が挟まっています。この3つを混同していることが、給与明細を読みにくくしています。
- 社会保険料は多くの場合、定率です。上限があり、それを超えると追加の負担は発生しません。課税所得ではなく報酬そのものにかかるため、各種控除を積んでも社会保険料は減りません。
- 所得税は累進です。課税所得(額面から認められた控除を引いた残り)に対してかかり、その金額を帯ごとに切り分けて、それぞれの税率が適用されます。
- 住民税はおおむね定率ですが、課税所得の出し方が所得税と少し異なります(基礎控除の額が違います)。
手取りの下にあるバーは、この3つと手元に残る額を同じ縮尺で並べたものです。多くの年収帯で人を驚かせるのは、社会保険料のブロックが所得税より大きいことです。
年収別の手取り早見表
下の表は例示ではなく、上の計算機を8つの年収で実際に走らせた結果です。独身・各種控除なしの前提なので、扶養家族がいる場合や住宅ローン控除がある場合は、これより手取りが増えます。
| 年収(額面) | 社会保険料 | 所得税 | 住民税 | 手取り | 手取り率 | 限界負担率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ¥300万 | ¥450,000 | ¥34,500 | ¥114,000 | ¥240万 | 80.1% | 23.3% |
| ¥400万 | ¥600,000 | ¥64,000 | ¥173,000 | ¥316万 | 79.1% | 24.8% |
| ¥500万 | ¥750,000 | ¥115,500 | ¥238,000 | ¥390万 | 77.9% | 28.0% |
| ¥600万 | ¥900,000 | ¥180,500 | ¥303,000 | ¥462万 | 76.9% | 28.0% |
| ¥800万 | ¥120万 | ¥426,500 | ¥447,000 | ¥593万 | 74.1% | 37.5% |
| ¥1000万 | ¥150万 | ¥766,500 | ¥612,000 | ¥712万 | 71.2% | 40.5% |
| ¥1500万 | ¥225万 | ¥184万 | ¥104万 | ¥988万 | 65.8% | 51.6% |
| ¥2000万 | ¥300万 | ¥324万 | ¥146万 | ¥1230万 | 61.5% | 51.6% |
この表で注目すべき点が2つあります。ひとつは、手取り率が年収300万円の約80%から2,000万円の約62%まで、なだらかにしか下がらないこと。税率表の数字が示唆するような崖はありません。もうひとつは、社会保険料が年収1,500万円あたりまで所得税を上回り続けることです。「税金が高い」と感じているものの正体は、多くの場合こちらです。
欲しい手取りから、必要な年収を逆算する
家計は手取りで組み立てます。家賃も住宅ローンの返済も貯蓄の目標も、口座に入った金額から出ていきます。一方で、求人票や年収の統計は額面で書かれています。この2つを「だいたい2割引き」のような決め打ちで行き来すると、差し引かれる割合そのものが年収によって変わるため、答えがずれます。
上の計算機で「手取り → 額面」を選び、必要な月の手取りを入れてください。その手取りに届く最小の額面年収を探し、その年収での内訳を順方向の計算と同じ形で表示します。下の表は、よく探される6つの手取り目標について同じ探索をした結果です(独身・各種控除なし)。
| 月の手取り | 必要な額面年収 | 額面の月額 | 差し引かれる割合 |
|---|---|---|---|
| ¥200,000 | ¥300万 | ¥249,837 | 19.9% |
| ¥250,000 | ¥378万 | ¥315,282 | 20.7% |
| ¥300,000 | ¥458万 | ¥381,728 | 21.4% |
| ¥400,000 | ¥625万 | ¥521,239 | 23.3% |
| ¥500,000 | ¥812万 | ¥676,467 | 26.1% |
| ¥100万 | ¥1940万 | ¥162万 | 38.1% |
最後の列を上から読むと、決め打ちの割合が通用しない理由が分かります。手取りを月50万円から100万円へ2倍にするには、額面を2倍にしても足りません。増やした分には平均ではなく限界負担率がかかるからです。転職や昇給の交渉で手取りの目標があるなら、まずここで額面に直し、その額面で交渉するのが確実です。
式で解かずに探索しているのには理由があります。所得税の基礎控除は合計所得に応じて段階的に減るため、段の境目を少し超えた直後は、額面が増えても手取りがわずかに減ります。「額面が増えれば手取りも増える」と仮定した解き方では、段差の手前で目標に届いている低い年収を見落とし、必要以上に高い年収を答えてしまいます。このツールは段差の手前も含めて探すので、目標に届く一番低い年収を返します。
累進課税は実際どう効いているか
税率の帯は、給与全体が入る「区分」ではありません。切り分けられた「一部分」です。195万円までが5%、そこから330万円までが10%なら、課税所得250万円の人は最初の195万円に5%、残りの55万円にだけ10%を払います。250万円全体に10%がかかることは決してありません。
だからこそ、実効負担率は必ず「到達した最上位の税率」より低くなります。所得税の20%の帯にいる人でも、所得税だけの実効税率はおおむね7〜10%程度です。上に両方の数字を出しているのは、それぞれが違う問いに答えるからです。実効負担率は「今年いくら取られたか」を、限界負担率は「来年の昇給がいくら残るか」を教えてくれます。
上限がもたらす逆転
社会保険料の上限は、一見おかしく見える現象を生みます。年収が上がると限界負担率が下がることがあるのです。厚生年金の標準報酬月額の上限を超えると、それ以上の収入には保険料がかかりません。所得税の帯が上がっていても、次の1円あたりの手残りは増えることがあります。
このツールは、その規則をあらかじめ書き込むのではなく、年収をわずかに増やして手取りの差を測ることで限界負担率を求めています。この測り方はどの制度でも正確です。日本のように、額面が1円増えても給与所得控除がその一部を吸収して課税所得が1円増えない制度でも、実態どおりの値が出ます。
昇給は実際いくら残るのか
限界負担率は%で語られますが、%を使って生活する人はいません。同じ50万円の昇給を年収別に並べ、口座に届く分と届かない分を金額で示します。
| 現在の年収 | 50万円の昇給のうち手元に残る額 | 差し引かれる額 | 残る割合 |
|---|---|---|---|
| ¥300万 | ¥383,750 | ¥116,250 | 76.8% |
| ¥400万 | ¥376,250 | ¥123,750 | 75.3% |
| ¥500万 | ¥360,000 | ¥140,000 | 72.0% |
| ¥600万 | ¥360,000 | ¥140,000 | 72.0% |
| ¥800万 | ¥312,500 | ¥187,500 | 62.5% |
| ¥1000万 | ¥297,500 | ¥202,500 | 59.5% |
| ¥1500万 | ¥242,250 | ¥257,750 | 48.4% |
| ¥2000万 | ¥242,250 | ¥257,750 | 48.4% |
年収1,500万円の行では、昇給額の半分以上が税と保険料に消えています。ここから導かれる実務的な結論がひとつあります。高い年収帯では、額面の昇給よりも、課税されない形の待遇——確定拠出年金の掛金、社宅、通勤手当の非課税枠——のほうが実質的な価値が高くなる場合があるということです。額面で比較すると、この差は見えません。
含めていないもの
この種の計算機は、どこかに線を引かなければなりません。このツールは所得税・住民税・社会保険料の3つに線を引き、使った数字を「計算に使ったすべての数字」にすべて開示しています。含まれていないのは次のとおりです。
- 扶養控除、配偶者控除、生命保険料控除、医療費控除などの各種所得控除
- 住宅ローン控除やふるさと納税などの税額控除
- 企業年金・確定拠出年金の掛金
- 健康保険組合ごとに異なる実際の保険料率
- 賞与にかかる異なる源泉徴収率
これらはいずれも実際の手取りを数%単位で動かします。使った税率をすべて表示しているのは、どの前提を自分で補正すればよいかが分かるようにするためです。計算過程を伏せたまま金額だけ渡すことはしません。
使いどころ
これは計画のための概算であって、申告書ではありません。2つの求人の条件を比べる、昇給が限界負担率を経ていくら残るかを見る、腑に落ちない給与明細の当たりをつける——こうした用途には十分に向いています。何かを申告する用途には向いておらず、あなた個人の事情も把握していません。それらについては、国税庁の公式ツールか税理士をご利用ください。
よくある質問
- 年収500万円の手取りはいくらですか?
- 令和7年分の税率で、独身・各種控除なしの場合およそ390万円です。内訳は社会保険料が75万円、所得税が約11万円、住民税が約24万円。額面の約78%が手元に残る計算です。年収1,000万円なら手取りは約712万円で、残る割合は71%まで下がります。この記事の表に8つの年収帯の内訳を載せていますが、いずれも上の計算機と同じコードで計算しています。
- 手取り月30万円にするには、年収はいくら必要ですか?
- 令和7年分の税率で、独身・各種控除なしの場合、額面でおよそ458万円(月あたり約38万円)です。社会保険料・所得税・住民税を合わせて額面の約21%が差し引かれます。賞与の有無で毎月の振込額は変わるため、ここでの「月」は年間の手取りを12で割った値です。上の計算機を「手取り → 額面」に切り替えて月額を入れると、任意の金額で逆算できます。この記事の表には6つの手取り目標について同じ計算を載せています。
- 年収が50万円上がると手取りはいくら増えますか?
- 年収帯によって大きく違い、そこが重要な点です。年収500万円なら約36万円(72%)が残りますが、年収1,000万円では約30万円(59%)、年収1,500万円では約24万円(48%)まで落ちます。昇給額の6割以上が残るのは年収800万円あたりまでです。下の表は率ではなく実際の金額で出しています。
- 実際の給与明細と金額が違うのはなぜですか?
- ほとんどの場合、この計算機が知りようのない要素があるためです。加入している健康保険組合の料率、企業年金や確定拠出年金の掛金、扶養控除や生命保険料控除、住宅ローン控除などです。ここに出る金額は、基礎控除と公表されている税率表だけから組み立てた基準値です。数%のずれは正常で、大きくずれる場合はあなた固有の控除が反映されていないと考えてください。
- 実効負担率と限界負担率は何が違いますか?
- 実効負担率は全体として何%取られたか(総控除 ÷ 額面)です。限界負担率は「次の1円」がどう扱われるかを示します。限界負担率のほうがほぼ常に高く、昇給や残業がいくら手元に残るかを判断するのはこちらの数字です。
- 年収が増えたのに限界負担率が下がることがあるのはなぜですか?
- 社会保険料に上限があるためです。厚生年金の標準報酬月額には上限があり、それを超えると追加の収入に保険料がかかりません。所得税の税率帯が上がっていても、次の1円あたりの負担は下がりうるということです。このツールは限界負担率を式で組み立てず、年収をわずかに増やして手取りの差を実測しているため、この逆転もそのまま結果に出ます。
- 税率は最新ですか?
- 使用している年度はページ上と「計算に使ったすべての数字」に明記しています。税率表は改正されるため、表示されている年度が現在と合っているかを確認してください。古いままなら結果もその分ずれます。
- 税率の帯が上がると損をしますか?
- 税率の帯が上がること自体では損をしません。これは所得税で最も根強い誤解です。上の税率がかかるのは、境目を超えた部分の金額だけです。ただし、令和7年分からの所得税の基礎控除は合計所得に応じて段階的に減るため、段の境目(額面で年収200万円・475万円・666万円・850万円付近)を少し超えた直後だけは、手取りが数千円〜1万円ほど下がります。これは税率の帯ではなく控除の段差によるもので、児童手当の所得制限と同じ種類の逆転です。
出典
このツールが使っている計算式と税率・基準値は、下記の資料に基づいています。制度は改正されます。ここの数字と出典が食い違う場合は、出典が正しいものとお考えください。
2026年9月17日 時点で、下記の出典と数値を突き合わせています。