ReadoutKit

住宅ローン借り換え計算機

諸費用と返済期間の組み直しまで含めて、その借り換えが本当に得なのか。毎月の差額だけでは分からない部分を出します。

すべてブラウザ内で動作します。入力した内容はアップロードされません。

ReadoutKit / Takashi Yamazaki が執筆・保守しています

仕組みと使い方

借り換えの提案書に書かれていない数字

借り換えの提案は、たいてい魅力的な数字ひとつで届きます。 新しい毎月の返済額、今より低い額です。 しかしその条件が得かどうかを決める要素は、その数字の外にあります。 諸費用は一度に出ていき、ゆっくりとしか回収されません。 返済期間は組み直され、金利とは無関係な理由で返済額が下がります。 そして将来のどの時点でいくら残高が残っているか—— 実際に自分の資産になる部分——は、返済額を見ても分かりません。

この計算機は、その問いを決着させられる唯一の基準で2つのローンを比べます。 すなわち、手元から出ていった現金と、まだ背負っている残高の合計が、 各時点でそれぞれいくらになるか、です。

「諸費用÷毎月の差額」が誤らせるところ

ほとんどの借り換え計算機は、損益分岐点を諸費用÷毎月の差額で出します。 諸費用70万円、毎月2万円の差額、35か月で回収。 式としては明快で、そして返済期間が変わる場合には必ず間違います。

残り25年のローンを新しく30年で組んだとします。 返済額が下がった理由の一部は金利ですが、 もう一部は返済を5年ぶん長く引き延ばしたことです。 この式は両方を節約として数えるので、期間を延ばすほど分岐点が早く見えるという逆の結果になります。 実際には元金の減りが遅くなり、将来のどの時点でも本来より多く借金が残ります。 これは節約ではなく先送りで、 元のローンなら完済していたはずの時期にまだ残っている債務として現れます。

ここで表示している分岐点は、両側で「既払い+残高」を数えたものです。 新しい期間を残り期間に揃えれば、隠れるものが無いので単純な式とほぼ一致します。 期間を延ばせば後ろにずれ、場合によっては何年も、あるいは永久にずれます。 両方の数字を並べて出しているのは、その差を自分の条件で見てもらうためです。

金利をどれだけ下げれば元が取れるか

残高2,500万円・残り25年・現在1.5%・諸費用80万円を手出しで払う前提で、借り換え後の金利 だけを動かした表です。返済期間は残り25年のまま揃えています。

借り換え後の金利毎月の返済額毎月の差額損益分岐生涯の差額
1.4%¥98,814¥1,170回収できない-¥448,897
1.2%¥96,499¥3,485163か月¥245,600
1.0%¥94,218¥5,76687か月¥929,790
0.8%¥91,972¥8,01260か月¥160万
0.6%¥89,760¥10,22446か月¥227万

いちばん上の行が重要です。1.4%への借り換えは毎月1,170円安くなるのに、生涯では44.9万円の損で、分岐点は返ってきません。毎月安くなっているのに損をするのは、 80万円の諸費用を金利差だけでは回収しきれないためです。毎月の数字だけを見ていると、 この行は「得」に見えます。

1.2%(0.3ポイント下げ)で分岐点は163か月 —— 13年半。この家に13年半住み続ける確信が あるかどうかが判断の中身であって、金利差そのものではありません。0.8%まで下がれば60か月、 0.6%なら46か月と、下げ幅に対して分岐点は加速度的に手前に来ます。

諸費用は毎月の数字を動かさない

同じ0.7ポイントの引き下げ(1.5%→0.8%)で、諸費用だけを変えた表です。

諸費用毎月の差額損益分岐生涯の差額
¥200,000¥8,01214か月¥220万
¥500,000¥8,01236か月¥190万
¥800,000¥8,01260か月¥160万
¥120万¥8,01294か月¥120万
¥200万¥8,012184か月¥403,642

「毎月の差額」の列が全行8,012円で動いていないことに注目してください。諸費用は毎月の返済額に まったく影響せず、分岐点と生涯の差額だけを動かします。だから毎月の軽さで判断すると、 費用が20万円でも200万円でも同じ結論が出てしまいます。実際には分岐点が14か月と184か月、 13倍違います。

銀行の試算書に載るのは「毎月◯円お得」のほうです。その数字は正しく、そして判断には使えません。

毎月の軽さと、生涯の得は逆に動く

借り換え後の返済期間だけを変えた表です。金利は0.8%、諸費用80万円で固定しています。

借り換え後の期間毎月の返済額毎月の差額生涯の差額
20年¥112,757-¥12,773¥213万
25年¥91,972¥8,012¥160万
30年¥78,134¥21,850¥107万
35年¥68,265¥31,719¥523,826

この表は2つの列の符号が反対を向きます。20年に縮めると毎月は12,773円増えるのに、生涯では213万円得をします。35年に延ばすと毎月31,719円軽くなりますが、生涯の得は 52万円まで落ちます。25年(残りと同じ期間)を挟んで、上へ行くほど毎月がきつく生涯が得、 下へ行くほど毎月が楽で生涯が損、という並びです。

金利を下げて期間も延ばす借り換えは、金利の引き下げ分を毎月の軽さとして受け取り、 利息の節約としては受け取らない選択です。それが悪いわけではありません —— 家計に余裕が要る時期には、月3万円の余裕は108万円の生涯差より価値があります。 ただしそれは、108万円で余裕を買う取引だと分かったうえで選ぶべきものです。 期間を延ばす提案を受けたら、この表の右2列を必ず一緒に見てください。

下がった金利の使い道は3つある

金利の低下は資源であり、使い道は3通りあります。 新しい期間いっぱいで返済額を下げれば、毎月の余裕が最大になりますが総額はたいてい最も大きくなります。 新しい期間を残り期間に揃えれば、条件を揃えた公平な比較になり、金利差だけをそのまま受け取れます。 あるいは、低い金利で今と同じ額を払い続ければ、家計は何も変わらないまま完済が大きく前倒しになります。

リードアウトが3つ目を強調しているのは、これが一貫して最も価値が高く、 そして最も選ばれないからです。 毎月の生活は何も変わりません。 金利が取らなくなった分はすべて元金に回り、 利息は残高に対してかかるため、残高が速く減るほど効果が積み上がります。 カードの返済を早めるときと同じ仕組みが、今度は自分の側で働きます。

入力を正しく取る

残高は当初の借入額ではなく、今の残高を入れてください。 期間も当初ではなく残っている年数です。 諸費用には、新しい銀行に払うものと第三者に払うものの両方を含めます—— 事務手数料、保証料、印紙代、登記費用(抵当権の設定と、 現在のローンの抵当権抹消の両方)、そして既存ローンの繰上返済手数料です。 諸費用を少なく見積もることが、 微妙な借り換えを得に見せてしまう最も一般的な原因です。

金利の引き下げをお金で買う場合—— 米国のポイント、日本では手数料型と保証料型の選択がこれに当たります—— 支払う費用を諸費用の欄に、引き下げ後の金利を新しい金利の欄に入れてください。 そのうえで、実際にそのローンを持ち続けるつもりの期間内に回収できるかを見ます。 判断の基準はそれだけです。 分岐点より前に売却や再度の借り換えをする見込みがあるなら、 金利がどれだけ良く見えても答えは「合わない」です。

すべてブラウザ内で完結します

残高も金利も期間も、このページから出ません。 この計算機の背後にサーバーはなく、 入力した数字がどこかへ送られることも、金融機関に渡ることもありません。 ローンの数字は、人がウェブページに打ち込むもののなかで最も商業的価値の高い情報です。 このページは計算をブラウザの中で済ませ、タブを閉じた時点で忘れます。

よくある質問

金利差はどれくらいあれば借り換える価値がありますか
「1%以上」という目安がよく言われますが、決めているのは金利差ではなく諸費用との比です。残高2,500万円・残り25年・現在1.5%・諸費用80万円なら、0.3ポイント下げて1.2%にしても分岐点は163か月(13年半)で、生涯の得は24.6万円しかありません。0.5ポイント下げて1.0%なら87か月で93万円、0.7ポイント下げて0.8%なら60か月で160万円になります。0.1ポイントしか下げない1.4%では、生涯で44.9万円の損です。差ではなく、自分の残高・残り期間・実際の諸費用で分岐点を出してください。
諸費用は分岐点をどれだけ後ろにずらしますか
ほぼ比例します。同じ0.7ポイントの引き下げ(1.5%→0.8%)で毎月8,012円安くなるとき、諸費用20万円なら14か月、50万円なら36か月、80万円なら60か月、200万円なら184か月が分岐点です。生涯の得は220万円から40万円まで落ちます。毎月の差額は諸費用に影響されないので、費用の見積もりを取り違えると、毎月の数字は合っているのに判断だけが逆になります。事務手数料・保証料・登記費用・印紙税・抵当権抹消まで含めた総額で入れてください。
損益分岐点はどう計算していますか
各月について「そこまでに払った額+その時点の残高」を両方のローンで計算し、借り換え側が現状維持を下回った最初の月を分岐点としています。よく使われる「諸費用÷毎月の差額」とは別物です。この式は残高を見ないため、返済期間が延びたせいで下がった返済額まで節約として数えてしまいます。残高を含めれば、期間を延ばした分は分岐点が後ろにずれる形で必ず現れます。
毎月は安くなるのに総額が増えるのはなぜですか
借り換えは返済期間を組み直すからです。残り22年のローンを新しく30年で組めば、返済額が下がる理由は金利だけでなく、同じ残高を96か月多く分散したことにもあります。利息は残高が存在する月ごとにかかるので、8年長く残高を抱えれば8年分の利息が増えます。低い金利で長く借りるほうが、高い金利で短く借りるより総額が大きくなることは普通に起こります。
諸費用は借入額に上乗せすべきですか
手元資金は残りますが、割高な選択です。上乗せした諸費用は借金なので、金利1.5%・35年なら70万円の諸費用は完済までにおよそ90万円になります。現金と上乗せを切り替えて総額を見比べてください。上乗せが合理的なのは、その現金に別の使い道がある場合(生活防衛資金を取り崩さずに済む、より高金利の借入を先に返すなど)であって、安いからではありません。
「返済額を据え置いた場合」とは何ですか
低い金利に借り換えたうえで、毎月の返済額を今のまま変えなかった場合の完済時期です。たいていの人が選ばないのに、たいていの場合これが最も得な選択です。毎月の支出は変わらず、金利が取らなくなった分がすべて元金に回り、残高が速く減るぶん利息もさらに減ります。残高2,500万円・残り25年で1.4%から0.9%に借り換えると、返済額を据え置くだけで完済が1年7か月早まります。
「金利差1%以上・残高1,000万円以上・残期間10年以上」の目安は使えますか
出発点にはなりますが、判断の代わりにはなりません。この3条件は諸費用を平均的な水準と仮定した経験則で、実際の分岐点は残高・残期間・諸費用の組み合わせで大きく動きます。残高が大きく期間が長ければ0.3%の差でも1〜2年で回収できますし、残り7年の小さな残高なら1%下がっても回収できないことがあります。自分の数字で計算するほうが速く、確実です。
この計算に含まれていないものは何ですか
固定資産税・火災保険・団体信用生命保険の保険料は含みません。住宅にかかる費用であってローンの条件ではなく、借り換えでほとんど変わらないためです。ただし団信の保障内容が変わる場合(三大疾病特約の付加など)は実質的な金利差に相当するので、その分を金利に上乗せして入力してください。住宅ローン控除の残存期間、現在のローンの繰上返済手数料、変動金利の将来の見直しも含めていません。現在が変動金利の場合、現状維持側の返済額は今の金利が続く前提の値です。

出典

このツールが使っている計算式と税率・基準値は、下記の資料に基づいています。制度は改正されます。ここの数字と出典が食い違う場合は、出典が正しいものとお考えください。

2026年9月1日 時点で、下記の出典と数値を突き合わせています。

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