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不動産投資 利回り計算

表面利回りと実質利回り、自己資金利回り(CCR)、毎月の手残り、損益分岐入居率を同じ物件について並べて出します。

すべてブラウザ内で動作します。入力した内容はアップロードされません。

ReadoutKit / Takashi Yamazaki が執筆・保守しています

仕組みと使い方

表面利回りが落としているもの

販売資料の「利回り」はほぼ必ず表面利回りです。定義は単純で、満室時の年間家賃を物件価格で割っただけのものです。

表面利回り = 満室時の年間家賃 ÷ 物件価格

この式に入っていないものを並べると、なぜこの数字が判断に使えないかが分かります。空室、滞納、管理費、修繕積立金、固定資産税、火災保険、原状回復費、入居募集の広告料、そして購入諸費用。落ちている項目はすべて支出側にしかありません。つまり表面利回りは、実態より高く出る方向にだけ間違えます。

実質利回り = NOI ÷(物件価格 + 購入諸費用)

NOI(営業純利益)は、実効家賃収入から運営費を引いたものです。上の初期値——2,800万円の物件、購入諸費用210万円、家賃165,000円、空室率8%、管理費等18,000円/月、固都税120,000円/年、その他150,000円/年——では、表面利回り7.1%に対して実質利回りは4.4%になります。差の2.6ポイントは値引き交渉で埋まる幅ではありません。

空室率は表面利回りを1ミリも動かさない

他の条件を固定し、空室・滞納率だけを変えた場合です。

空室率実効家賃(年)NOI(年)実質利回り月次CF
0.0%¥198万¥149万5.0%¥27,360
5.0%¥188万¥140万4.6%¥19,110
8.0%¥182万¥134万4.4%¥14,160
10.0%¥178万¥130万4.3%¥10,860
15.0%¥168万¥120万4.0%¥2,610
20.0%¥158万¥110万3.6%-¥5,640

空室率0%と20%では、月次キャッシュフローが27,360円のプラスから5,640円の持ち出しへ、33,000円動きます。同じ列で表面利回りは7.1%のまま一度も動きません。表面利回りだけで物件を比べている限り、この33,000円の差は最後まで見えないということです。

空室率は、家賃を下げれば入居が決まるという意味では調整できる変数ですが、その調整は満室家賃そのものを下げます。どちらに転んでも実効家賃は減るので、購入前に見積もる価値のある数字です。都心の区分で5%前後、地方や築古では10〜20%を見ておくと、購入後に驚かずに済みます。

レバレッジは利回りを上げ、耐久力を削る

同じ物件、同じ金利2.2%で、自己資金の割合だけを変えた場合です。

自己資金借入額月次CFCCRDSCR損益分岐入居率
10.0%¥2520万¥2,0180.5%190.8%
20.0%¥2240万¥14,1602.2%1.183.4%
30.0%¥1960万¥26,3033.0%1.376.1%
50.0%¥1400万¥50,5883.8%1.861.3%
100.0%¥0¥111,3004.4%—24.5%

「自己資金を抑えるほど自己資金利回りが上がる」という説明をよく見かけますが、この表ではそうなっていません。自己資金10%の CCR は0.5%で、20%の2.2%、30%の3.0%より低く出ています。借入が増えると返済が NOI を食い尽くし、CCR の分子であるキャッシュフロー自体が先に消えるためです。レバレッジが効くのは、実質利回りが借入金利を十分に上回っている場合だけです。

同時に見るべきは右2列です。自己資金10%では DSCR が1.02、損益分岐入居率が90.8%。12戸なら1戸空いた時点で赤字に落ちます。自己資金30%なら DSCR 1.31、分岐点76.1%で、3戸空いても耐えます。レバレッジは利回りを買う取引ではなく、耐久力を売って利回りを買う取引です。

借入条件は物件の評価ではない

物件は同じまま、金利だけを変えた場合です。

金利毎月返済月次CFCCRDSCR
1.0%¥84,419/月¥26,8814.2%1.3
1.5%¥89,586/月¥21,7143.4%1.2
2.2%¥97,140/月¥14,1602.2%1.1
3.0%¥106,223/月¥5,0770.8%1
4.0%¥118,235/月-¥6,935-1.1%0.9

金利1%なら月26,881円の手残り、4%なら月6,935円の持ち出し。同じ物件、同じ家賃、同じ空室率でこれだけ動きます。一方で NOI も実質利回りも、この列では一切変わりません。物件の収益力と借入条件は別の軸だということです。だから物件の比較は実質利回りで行い、買えるかどうかの判断は DSCR とキャッシュフローで行います。

実質利回り4.4%に対して金利4%の借入は、イールドギャップがわずか0.4ポイントしかありません。この状態では、金利がわずかに上がるか空室が1つ増えるだけで赤字に反転します。変動金利で借りる場合、この表を「今の金利」ではなく「2ポイント上がったときの行」で読むことをおすすめします。

数字を1つだけ持ち帰るなら

損益分岐入居率です。上の初期値では83.4%——満室家賃の83.4%が運営費と返済で消え、残りが手残りになります。利回りが率であるのに対して、この数字はあと何戸空いても耐えられるかという形で余白を直接示します。12戸なら2戸ぶん、6戸なら1戸ぶんです。

この数字を90%以下に保てているかどうかが、金利上昇・大規模修繕・想定外の退去といった、必ず起きるが時期の読めない出来事への備えになります。90%を超えている物件は、すべてが計画どおりに進んだときだけ黒字になる物件です。

この計算機が入れていないもの

減価償却費と税金は入れていません。建物と土地の按分、構造ごとの耐用年数、個人か法人か、給与所得がいくらあるか——これらは物件の良し悪しとは別の話で、同じ物件でも買う人によって答えが変わります。ここは税引前で揃え、比較可能な形にしてあります。

売却も入れていません。売却益まで含めた総合的な収益率(IRR)は、出口価格の想定という最も当てにならない前提に全体が引きずられます。保有中のキャッシュフローが回っているかどうかは、出口を仮定しなくても答えが出ます。順序として、まずこちらが先です。

大規模修繕費も、年間費用の欄に自分で織り込む形にしてあります。区分マンションなら修繕積立金が実質的にその役割を果たしますが、一棟なら10〜15年ごとにまとまった支出が来ます。年額に均して「その他の年間費用」に入れておくと、平時の手残りを過大に見なくて済みます。

よくある質問

表面利回りと実質利回りの違いは何ですか?
表面利回りは「満室時の年間家賃 ÷ 物件価格」で、空室も運営費も購入諸費用も無視した数字です。実質利回りは「NOI(実効家賃 − 運営費)÷(物件価格 + 購入諸費用)」で、無視した項目を戻したものです。無視される項目はすべて支出側にしかないため、表面利回りは必ず実質より高く出ます。上の初期値の物件では表面7.1%に対して実質4.4%、差は2.6ポイントです。販売資料に載っているのはほぼ必ず表面のほうなので、他物件と並べる用途だけに使ってください。
実質利回りは何%あればいいですか?
単独では判断できません。実質利回りは借入を含まない物件の収益力なので、同じ4.4%でも金利1%で買えば月26,881円の手残り、金利4%なら月6,935円の持ち出しになります。基準にするなら、実質利回りが借入金利を何ポイント上回っているか(イールドギャップ)と、損益分岐入居率がいくらかの2つで見てください。実質利回りが金利を下回っている物件は、借りるほど赤字が増えます。
空室率は何%で見ておくべきですか?
立地と築年数で変わりますが、都心の区分で5%前後、地方や築古の一棟で10〜20%を見るのが一般的です。重要なのは、この入力が表面利回りをまったく動かさないことです。上の物件で空室率を0%から20%まで動かすと、実質利回りは5.0%から3.6%へ、月次キャッシュフローは27,360円から−5,640円へ変わりますが、表面利回りは7.1%のまま動きません。空室率は表面利回りの外側にあるので、表面だけを見比べている限り一度も評価されません。
CCR(自己資金利回り)とは何ですか?
年間の税引前キャッシュフローを、実際に出した現金(頭金 + 購入諸費用)で割った値です。物件の収益力ではなく「自分が出した現金が年に何%の現金を生んだか」を測ります。上の物件では自己資金20%で2.2%、50%で3.8%、全額自己資金で4.4%になります。自己資金を減らすほど CCR が上がるとは限らない点に注意してください。返済が重くなるとキャッシュフローが先に潰れるため、自己資金10%では CCR が0.5%まで落ちます。
DSCR はどのくらい必要ですか?
DSCR は NOI ÷ 年間返済額で、1.0 が「NOI で返済をちょうど賄える」線です。融資審査では 1.2〜1.3 以上を求められることが多く、上の初期値は 1.15 です。1.0 を割る物件は、満室想定でも家賃だけでは返済が回らないため、給与など別の収入から補填し続けることになります。DSCR は自己資金比率で大きく動き、同じ物件でも自己資金10%なら 1.02、30%なら 1.31 です。
損益分岐入居率とは何ですか?
(運営費 + 年間返済額)÷ 満室時の年間家賃です。「何%埋まっていれば持ち出しゼロか」を示し、上の初期値では83.4%です。想定空室率とは独立に計算しています —— 想定を分母に入れると「想定どおりなら想定どおり」という循環になるためです。この数字が実質利回りより実務的なのは、余白の大きさがそのまま耐久力になるからです。83.4%なら12戸中2戸の空きに耐えられますが、93%(自己資金10%の場合)では1戸空いた時点で赤字になります。
減価償却や税金は計算に入っていますか?
入っていません。この計算機は税引前で統一しています。減価償却費と課税所得は、建物と土地の按分、構造ごとの耐用年数、個人か法人か、他の所得がいくらあるかで変わり、物件の良し悪しとは別の話になるためです。税引後で比べたい場合は、ここで出た税引前キャッシュフローを出発点に、減価償却費を引いた課税所得へご自身の税率を当ててください。
入力した金額はどこかに送信されますか?
いいえ。計算はすべてブラウザ内の JavaScript で完結します。アップロードも保存もログ記録も行わず、不動産会社や金融機関に情報が渡ることもありません。この分野の収支シミュレーターは結果の表示前に資料請求フォームが挟まるものが大半ですが、ここには何もありません。

出典

このツールが使っている計算式と税率・基準値は、下記の資料に基づいています。制度は改正されます。ここの数字と出典が食い違う場合は、出典が正しいものとお考えください。

2026年9月2日 時点で、下記の出典と数値を突き合わせています。

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