ReadoutKit

老後資金シミュレーション

収入が止まったあと、資金が何歳までもつか。取り崩し額は実際と同じくインフレで毎年増やして計算します。

すべてブラウザ内で動作します。入力した内容はアップロードされません。

ReadoutKit / Takashi Yamazaki が執筆・保守しています

仕組みと使い方

問題は「いくら貯まるか」ではない

老後資金の計算機の多くは、問題の簡単なほうの半分だけに答えます。 資産を複利で将来に運び、大きな数字を表示して終わりです。 しかしその数字は判断の対象ではありません。 判断すべきなのは資産が自分より長くもつかどうかで、それは積立が終わったあとに何が起きるかで決まります。 お金が増えながら同時に出ていく、まったく別の算数が働く局面です。

このツールは両方の局面を計算します。退職年齢まで資産を積み上げ、 そこから生活費で取り崩し、尽きるか100歳に達するまで進めて、どちらかを表示します。 グラフに出るのはその形です。上昇し、頂点を迎え、下降する。 その下降の急さがすべてを語ります。

始めるのが遅れることの値段

毎月5万円、既に800万円の貯蓄あり、65歳で退職。変えるのは始める年齢だけです。

開始年齢65歳時点の資産今日の購買力で初年度の取り崩し率資金が尽きる年齢
25歳¥1.75億¥7930万4.5%94歳
30歳¥1.28億¥6420万5.6%87歳
35歳¥9340万¥5160万7.0%82歳
40歳¥6730万¥4100万8.8%78歳
45歳¥4770万¥3210万11.2%75歳
50歳¥3310万¥2460万14.6%73歳

5年遅れるごとに、最終的な資産の4分の1から3分の1が失われます。2列目と3列目の対比も見てください。名目の金額は立派に見えますが、インフレ調整後が正直な数字です。25歳から積み立てた1億7,514万円は、今日の購買力ではおよそ7,932万円にあたります。

資産はどれだけもつのか

65歳で退職し、年金で足りない分として毎年240万円(今日の購買力)を取り崩す場合。利回り4%、インフレ2%です。

退職時の資産初年度の取り崩し率もつ年数尽きる年齢
¥1000万24.0%5年70年
¥2000万12.0%9年74年
¥3000万8.0%15年80年
¥4000万6.0%20年85年
¥5000万4.8%27年92年
¥6000万4.0%34年99年

比例していないことに注目してください。資産を2,000万円から4,000万円へ倍にすると、もつ年数は9年から20年へと倍以上になります。取り崩し率が、成長が支出にほぼ追いつく水準まで下がるからです。初年度の取り崩し率が4%前後を切るあたりで、資産は「減っていくもの」から「維持されるもの」に変わります。

取り崩し額は増えていく。生活費が増えるから

生活費は今日の物価で入力し、モデル側が毎年インフレ率のぶん増やしてから差し引きます。 これは細かい調整ではありません。使える試算と、静かに自分を甘やかす試算の分かれ目です。

名目の固定額で取り崩す試算を考えてみてください。 30年目に引き出す金額は1年目と同じですが、インフレ2%ならその購買力はおよそ半分です。 そのモデルが表しているのは一定の生活水準ではなく、 購買力が半減しても気にしない退職者です。 実際に必要なのは実質の取り崩し額を一定に保つことで、そうすると資産の寿命は大きく縮みます。 典型的な前提では5年から10年ほど短くなります。

効いているのは実質利回り

人が比べるのは表面の利回りですが、結果を決めているのは実質利回りです。 インフレを差し引いて残る部分で、引き算ではなく割り算で求めます。 利回り6%・インフレ2%なら、残るのは4%ではなく3.92%です。

感覚として持っておく価値があります。実質利回りが0のとき、 資産は「資産額 ÷ 年間取り崩し額」とほぼ同じ年数しかもちません。 1億円を年400万円で取り崩せば25年で、それ以上にはなりません。 実質利回りがプラスならそれが伸びます。 伸び方は、成長が取り崩しに追いつく境目の近くで急激になります。 想定利回りをわずかに変えただけで、尽きる年齢が驚くほど動くのはこのためです。 実質利回りがマイナスなら、持続可能な取り崩し率は存在しません。 手を付けなくても資産は減っていきます。

実質利回りを取り崩し率の隣に表示しているのは、まさにこの理由からです。 2つが近い値なら、その計画はきわどい均衡の上にあり、負荷をかけて試す価値があります。

名目利回りは雑音、実質利回りが信号

4,000万円の資産から毎年240万円を取り崩す場合の、利回りとインフレの組み合わせです。

想定利回りインフレ率実質利回りもつ年数尽きる年齢
1.0%1.0%0.0%17年82年
2.0%2.0%0.0%17年82年
3.0%2.0%1.0%19年84年
4.0%2.0%2.0%20年85年
5.0%2.0%2.9%23年88年
2.0%4.0%-1.9%15年80年

最初の2行を見てください。利回り1%・インフレ1%と、利回り2%・インフレ2%は、見た目の異なる計画ですが実質利回りはどちらも0%で、もつ年数も同じ17年です。一方、同じ利回り2%でもインフレが4%なら15年に縮み、実質利回りはマイナスになります。誰かが利回りの数字を示してきたら、その隣にどのインフレ率を置いているかを確かめるまで、その数字は未完成だと考えてください。

4%ルールの位置づけ

ここで表示している取り崩し率は、初年度の取り崩し額が退職時点の資産に占める割合です。 よく知られた4%ルールが指しているのと同じ量です。 このルールは、4%を初年度に引き出し以後インフレ調整を続ける方法が、 検証された期間において30年持ちこたえたという米国の市場データの研究から来ています。

参照点としては有用ですが、限界もはっきりしています。 特定の株式・債券の配分、30年という期間、手数料ゼロ、 そして一国の一世紀ぶんの収益履歴を前提にしています。 60歳で始まる老後は35年や40年を賄う必要があるかもしれません。 年1%の手数料は実質利回りからそのまま引かれます。 4%は確認の目安として使ってください。 取り崩し率がこれを大きく上回るなら前提を見直す合図であり、 下回るから安全という証明でもありません。

固定利回りでは見えないもの

このモデルは毎年同じ利回りを適用します。市場はそうではありません。 積立期においてこの単純化はおおむね無害です。 good/bad の順番が最終的な合計をほとんど変えないためです。 しかし取り崩し期では、無視できない省略になります。

資産から money が出ていくようになると、収益率の順番は平均と同じくらい重要になります。 最初の10年が不振で、そこに取り崩しが重なると、 本来なら回復局面で複利を効かせたはずの元本が恒久的に失われます。 平均利回りが同一の2人の退職者が、どの年が悪かったかだけで数十年違う結末を迎えることがあります。 固定利回りの試算はこのリスクを表示できません。 だからこのツールの誠実な使い方は、問題の形をつかんだうえで、 利回りを1〜2ポイント下げて再計算し、それでも計画が成り立つかを確かめることです。

この試算には年金、税金、手数料、一時的な大きな支出も含まれていません。 いずれも答えを数か月ではなく数年単位で動かします。 出力は資格を持つ専門家と話すための枠組みであって、その代わりではありません。

よくある質問

老後資金は3,000万円あれば足りますか
「毎年いくら取り崩すか」を決めない限り、この問いには答えられません。年金で足りない分が年240万円、利回り4%・インフレ2%なら、3,000万円は15年もち、80歳で尽きます。年360万円なら9年です。逆に4,000万円あれば20年(85歳まで)、6,000万円なら34年もって99歳まで届きます。必要額を決めているのは資産額ではなく、資産額と取り崩し額の比です。
10年早く始めると、そんなに違いますか
違います。毎月5万円の積立を40歳ではなく30歳から始めると、65歳時点の資産は6,725万円から1億2,835万円へ、ほぼ倍になります。追加で払い込んだ額は600万円(10年×12か月×5万円)にすぎません。差の大部分は、早い時期の積立が複利を働かせられた時間そのものです。資金が尽きる年齢も78歳から87歳へ動きます。
なぜ生活費が毎年増えていくのですか
実際に増えるからです。入力するのは今日の物価での金額で、毎年インフレ率のぶんだけ増やしてから資産から差し引いています。取り崩し額を名目のまま固定するのは、老後資金の試算が実態より楽観的になるもっとも一般的な原因です。インフレ2%なら、固定額では35年もつように見える資産が、実際には27年程度しかもたないということが起こります。
実質利回りとは何で、なぜ強調しているのですか
インフレを差し引いたあとに残る利回りで、資金が何年もつかを実際に決めているのはこの値です。2つの率の単純な引き算ではありません。利回り6%・インフレ2%なら、4%ではなく3.92%です。割り算で求めるためです。実質利回りが0のとき、資産は「資産額 ÷ 年間取り崩し額」とほぼ同じ年数で尽きます。実質利回りがマイナスなら、持続可能な取り崩し率は存在しません。
4%ルールは信頼できますか
目標ではなく参照点として使うものです。元になった研究は、退職時点の資産の4%を初年度に取り崩し、以後毎年インフレ調整して引き出す方法が、米国の過去の市場データで30年間持ちこたえたことを示しました。この結果は特定の株式・債券の配分、30年という期間、そして一国の一時代の歴史に固有のものです。40年の老後、債券中心の配分、手数料の影響については何も述べていません。このツールが表示する取り崩し率を確かめる目安として使ってください。
なぜ毎年同じ利回りでは現実に合わないのですか
実際の運用成績は不揃いに訪れ、取り崩しを始めたあとはその順番が大きく効くためです。平均利回りが同じでも、悪い年が先に来るかどうかで結果は大きく変わります。序盤の不振と取り崩しが重なると、本来なら回復局面で複利を効かせたはずの元本が恒久的に失われるからです。これは収益率配列のリスクと呼ばれ、固定利回りのモデルでは表現できません。このツールで問題の形をつかんだうえで、利回りを1〜2ポイント下げて再計算し、それでも成り立つかを確かめてください。
この試算に含まれていないものは何ですか
意図的に多くを省いています。公的年金や企業年金の収入、取り崩し時の税金、運用にかかる手数料、介護費用や住宅修繕といった一時的な大きな支出、そして配偶者の資産と寿命——いずれも含まれていません。どれも答えを数年単位で動かします。この試算は専門家と話すための出発点であって、計画そのものではありません。

出典

このツールが使っている計算式と税率・基準値は、下記の資料に基づいています。制度は改正されます。ここの数字と出典が食い違う場合は、出典が正しいものとお考えください。

2026年8月28日 時点で、下記の出典と数値を突き合わせています。

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