消費税・VAT 計算
税抜価格に税を足す計算と、税込価格から税額を逆算する計算。どちらの向きにも対応します。
すべてブラウザ内で動作します。入力した内容はアップロードされません。
ReadoutKit / Takashi Yamazaki が執筆・保守しています
仕組みと使い方
2つの向きがあり、片方だけ間違えやすい
消費税の計算は掛け算ひとつですが、小規模事業の経理でもっとも安定して間違えられる数字のひとつでもあります。 原因は、この計算が対称ではないことにあります。税を足す操作と抜く操作は鏡写しに見えるので、 鏡写しの操作を選んでしまう。そしてそれが誤りです。
足すほうは簡単です。税抜価格に「1 + 税率」を掛ける。税抜 1,000 円は税込 1,100 円になります。 問題は戻すほうです。税込 1,100 円を前にすると、反射的に 10% を引きたくなり、990 円が出てきます。 正解は 1,000 円で、そこに辿り着くには 1,100 ÷ 1.1 と割るしかありません。 10% が掛かった相手は 1,000 円であって 1,100 円ではないので、 打ち消すには使われた係数で割る必要があり、同じ割合をより大きな金額から引いても戻りません。
このツールで計算の向きを明示的な選択にしているのは、この誤りが静かだからです。 どちらの答えも請求書の上では自然に見え、後の工程で警告が出ることもありません。
納める額は、掲げた税率の割合ではない
同じ非対称から、もうひとつの取り違えが生まれます。10% の消費税を預かっているとき、 納税額は入金額の 10% ではありません。税抜価格の 10%、すなわち税込価格の 9.09% です。 8% なら 7.41%、20% なら 16.67% になります。
これは申告のときより、日々お金を取り分けるときに効いてきます。 税率 10% で売上の 10% を別口座に移している人は、1割ほど多く取り置いていることになります。 逆向きに誤解すれば、申告時に足りません。 リードアウトで税率のすぐ隣に「税込に占める割合」を出しているのは、 この2つの数字が並んでいれば静かに入れ替わらないからです。
税率別に、税込10万円の中身を見る
税込価格を固定して、税率だけを動かした表です。実務で先に分かっているのは受け取った金額のほうなので、税抜から積み上げるより、この向きのほうが照合に使えます。
| 税率 | 税抜価格 | 税額 | 税込に占める割合 |
|---|---|---|---|
| 5.0% | ¥95,238 | ¥4,762 | 4.8% |
| 8.0% | ¥92,593 | ¥7,407 | 7.4% |
| 9.0% | ¥91,743 | ¥8,257 | 8.3% |
| 10.0% | ¥90,909 | ¥9,091 | 9.1% |
| 15.0% | ¥86,957 | ¥13,043 | 13.0% |
| 19.0% | ¥84,034 | ¥15,966 | 16.0% |
| 20.0% | ¥83,333 | ¥16,667 | 16.7% |
| 21.0% | ¥82,645 | ¥17,355 | 17.4% |
| 23.0% | ¥81,301 | ¥18,699 | 18.7% |
| 25.0% | ¥80,000 | ¥20,000 | 20.0% |
右端の列が、先ほどの「掲げた税率より必ず小さくなる」割合です。10%の行では 9.09%、20%の行では 16.67% になっています。税率が上がるほど2つの数字は離れ、25%では税率と実際の割合が5ポイント違います。売上から納税分を取り分けるときに使うべきなのは、左端ではなく右端の数字です。
「10%を引く」の値段は、税率の2乗
冒頭の誤りが、税率ごとにいくらの損得になるかを並べたものです。税込10万円を、正しく割り戻した場合と、税率をそのまま引いた場合の差です。
| 税率 | 正しい税抜 | 税率を引いた額 | 差額 | 誤差の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 5.0% | ¥95,238 | ¥95,000 | ¥238 | 0.2% |
| 8.0% | ¥92,593 | ¥92,000 | ¥593 | 0.6% |
| 9.0% | ¥91,743 | ¥91,000 | ¥743 | 0.8% |
| 10.0% | ¥90,909 | ¥90,000 | ¥909 | 1.0% |
| 15.0% | ¥86,957 | ¥85,000 | ¥1,957 | 2.3% |
| 19.0% | ¥84,034 | ¥81,000 | ¥3,034 | 3.6% |
| 20.0% | ¥83,333 | ¥80,000 | ¥3,333 | 4.0% |
| 21.0% | ¥82,645 | ¥79,000 | ¥3,645 | 4.4% |
| 23.0% | ¥81,301 | ¥77,000 | ¥4,301 | 5.3% |
| 25.0% | ¥80,000 | ¥75,000 | ¥5,000 | 6.3% |
右端の列を縦に読むと、この誤りの性質が見えます。表示は小数1桁に丸めていますが、正確な値は 10%で 1.00%、20%で 4.00%、25%で 6.25% —— 誤差の割合が、ちょうど税率の2乗になっています。偶然ではありません。正しい税抜は G ÷ (1 + r)、誤った計算は G × (1 − r) で、その差は G × r² ÷ (1 + r) です。これを正しい税抜で割ると (1 + r) が約分されて、残るのは r² だけになります。
実務上の意味は、この誤りが低い税率では見逃され、高い税率では致命的になる、ということです。日本の8%では 0.64%、金額にして税込10万円あたり593円で、端数処理の誤差と紛れます。同じ間違いをアイルランドの23%で犯すと 5.29%、税込10万円あたり4,301円です。1件では気づかない大きさのまま、件数ぶん積み上がります。
税率のプリセットは出発点であって答えではない
国のプリセットは入力を省くために標準税率を埋めるだけのもので、 あなたが何%で請求すべきかを判定するものではありません。プリセットには知りようのないことが3つあります。
何を売るか。多くの制度では標準税率と並んで軽減税率が運用されており、 その区分は直感的ではなく個別に定められています。さらに「非課税」と「免税(ゼロ税率)」の違いはより重要です。 どちらも売上に税は乗りませんが、免税では仕入税額控除が使えるのに対し、非課税では使えないのが一般的で、 手元に残る金額が大きく変わります。この違いは価格の数字には現れません。
どこで取引が行われるか。国境をまたぐ取引では、どの国の税が適用されるか、 そして納税義務が売り手と買い手のどちらにあるかが変わります。 EU の消費者向けデジタルサービスは原則として顧客の所在地で課税され、 事業者間取引では義務が買い手に移ることも多くあります。単一の国別税率では表現できません。
そもそも課税事業者かどうか。免税点、課税事業者の選択、簡易課税制度は、 いずれも請求額と手残りの両方を変えます。税率しか知らない計算機が助言できる範囲を超えています。
税率そのものも動きます。画面に出している日付の時点で確認した値ですが、 税制は政治日程で変わり、年度の途中で、ときには期間限定の措置として変更されます。 古くなったプリセットが制約にならないよう、税率欄は常に編集できるようにしてあります。
端数処理と、内部で丸めていない理由
1.1 や 1.08 で割ると、通貨の最小単位にきれいに収まることはまずありません。 端数をいつ、どの単位で処理するか(明細ごとか、請求書単位か)には規定があり、 国によっても異なります。このツールは内部で完全な精度を保ち、表示のときだけ丸めています。 画面に出ているのは、丸めた値をさらに丸めた数字ではありません。 請求書に転記するときに、あなたの制度の端数処理規定を一度だけ適用してください。
結果を素早く検算したいときは、税抜 + 税額 = 税込 であること、 そして 税額 ÷ 税抜 = 税率 であることの2点を確かめてください。 両方が成り立っていれば、どちらの向きから計算しても数字は正しいことになります。
よくある質問
- なぜ税込価格から10%を引いてはいけないのですか
- 10% を掛けた相手が、いま手元にある金額より小さいからです。税抜 1,000 円に 100 円の税が付いて税込 1,100 円になったとき、1,100 円から 10% を引くと 990 円で、正しい 1,000 円になりません。大きいほうの金額の1割を取ってしまっているためです。戻すには割り算しかなく、1,100 ÷ 1.1 = 1,000 円です。税率が高いほどズレも大きくなり、20% の国では 1割以上の差になります。
- 税込10万円の内訳は税率ごとにいくらになりますか
- 税率10%なら税抜90,909円・税額9,091円、8%なら92,593円・7,407円です。英国など20%の国では83,333円・16,667円、デンマークなど25%の国では80,000円・20,000円になります。税額は税率に比例せず、税率が上がるほど「税込に占める割合」との差も開きます。この記事に5%から25%までの表を載せてあり、上の計算機と同じ関数で計算しています。
- 税込価格から税率をそのまま引くと、どれくらいずれますか
- 誤差の割合は税率の2乗になります。10%なら1.00%、20%なら4.00%、25%なら6.25%です。税込10万円で見ると、10%では909円、20%では3,333円、25%では5,000円のずれです。式で書くと、正しい税抜は G÷(1+r)、誤った計算は G×(1−r) で、その差は G×r²÷(1+r) になります。正しい値で割ると (1+r) が約分されて、ちょうど r² が残ります。税率が高い国ほど、この誤りは加速度的に高くつきます。
- 税込価格に占める消費税の割合は何%ですか
- 税率より必ず小さくなります。10% なら 9.09%、8% なら 7.41%、20% なら 16.67% です。税率は税抜価格に対して定義されているのに、税込価格は税抜に税を足したものなので、同じ税額をより大きな分母で測ることになるためです。売上から納税額を見積もるときに取り違えやすいので、このツールでは税率と並べて「税込に占める割合」を表示しています。
- プリセットの税率は最新ですか
- 2026年8月24日に確認した値で、画面にもその日付を表示しています。ただし最新であることを保証するものではありません。税率は法改正で動き、期間限定の措置が取られることもあります(ドイツは2020年に半年間だけ標準税率を引き下げ、英国も飲食・宿泊の軽減税率を2022年まで延長しました)。税率の入力欄はいつでも書き換えられるようにしてあります。請求書に載せる前に必ず現行の税率をご確認ください。
- 軽減税率には対応していますか
- 手入力で対応できます。軽減税率のある国では入力欄の下に該当する税率を表示していますが、自動では適用しません。どの税率が適用されるかは「どこで売るか」ではなく「何を売るか」で決まるためです。日本では飲食料品と定期購読の新聞が 8% ですが、外食とケータリングは 10% のままで、その線引きは細かく定められています。ツールが金額だけから判断できる事柄ではありません。
- 入力した金額はどこかに送信されますか
- されません。掛け算と割り算をブラウザ内で実行しているだけで、送信先そのものがありません。ここでは特に意味があります。未公開の価格、原価率、見積金額といった数字は、検索上位に出た計算サイトにそのまま貼り付けられがちだからです。
出典
このツールが使っている計算式と税率・基準値は、下記の資料に基づいています。制度は改正されます。ここの数字と出典が食い違う場合は、出典が正しいものとお考えください。
2026年9月1日 時点で、下記の出典と数値を突き合わせています。